第798話 【次元龍】VS【雷帝】⑥

「さんざんただのゲームだと馬鹿にしていた割には接戦になってしまったな【次元龍】よ」


「ぬかせ、元より最終ラップのみで充分だ」


 我と【雷帝】はデットヒートを繰り返しながら既に最終ラップの半周を走っていた。


 もうそろそろ終わりにしよう。


「【砂鉄龍の翼】」


 我はカートの性能差を覆す為にカートを走らせるのではなく自分の力で飛ぶ事を選んだ。


 カートの黒き龍が翼を広げ、我のカートは低空飛行を始める!


「こいつ!!」


【雷帝】が我の不正行為に怒りの表情を燃やす。


「別にいいだろう? 誰も最初に魔法を使っちゃダメだなんて言ってないよなぁ?」


「ぐぬぬ...! そんな事をするのであれば、こちらにも考えがある!」


 彼はそう呟くと我の周りに電撃を発生させ、【砂鉄】の力を剥いで行く。


「電磁波か!」


「ご名答、貴様の【砂鉄】の力は確かに便利で強力だが【電気】の流れには逆らえまい」


「ぐっ...!」


 確かに奴の言う通り我の【砂鉄】が剥がされていく。


 以前の我であれば対抗策はなかっただろう。


 しかし、今の我は【ケロナ】でもある。


「ふっ...、【雷帝】よ、【雷気】なら我も操れる!」


 我は全身に蒼き力を張り巡らせ、稲妻を走らせた!!


「【蒼極】! 【ケロっと☆ こんとろ〜る☆】!!」


 指をパチッと鳴らして彼女の魔法を発動する!!


 すると奴の電撃を我がコントロールし、【砂鉄】の四散を食い止める事に成功した。


「なんだと!?」


 と驚く彼を見て勝利を確信したのだが...。


 正直言ってこの技名は少々間抜け過ぎないか? とは思う。


 まあ、これがケロナクオリティなので仕方がない。


(【蒼極】はともかく【ケロっと☆ すぱ〜く☆】や【ケロっと☆ すぱいらる☆】などはなぁ...)


 我は彼女のネーミングセンスに疑問を抱きながらも、しっかりと使わせてもらう事にするのでした。

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