第779話 ゴーレム娘とトカゲ娘VS【邪帝】④

「どうした? 反撃できないのか?」


 私は【邪帝】の攻撃を真正面から受け切っていました。


(流石にそう何発も受けるのはまずい...!)


 とは思っていても、私の素早さでは奴を捉える事ができません。


 仮に反撃しても躱されててしまうのが目に見えている為、こうして受け身にまわっているのです。


「妙にタフだな、貴様ゴーレム種だな」


「...違うと言ったら?」


「嘘はよせ、その耐久性能はゴーレム種特有の【硬質化】を置いて他にはない」


「妙に詳しいんだね」


「まあな、俺も昔ゴーレムには手を焼いた口でね」


「【邪帝】が手を焼くゴーレムなんて私以外にいたの?」


「世界は広いと言う事だ」


「ふ〜ん...」


 無駄なやり取りのお陰で時間を稼ぐ事に成功しました。


「うん! OKだよ! ミカ!」


「よしっ! 私ごと吹っ飛ばせ!!」


 私の言葉と共にミルシュが貯めていた暴風が部屋中に散開する。


 いくらミルシュが魔法向けの職ではないとは言っても魔物である。


 実際の所、人間よりも魔族の方が魔力適性が高く、職業に関係なく魔法を扱える事が多いと師匠から聞いた。


 故に師匠は私やミルシュにも適正の高い魔法を教えてくれたのだ。


 それが私の【土】とミルシュの【風】魔法である。


 私達は1種類の魔法にのみ絞って育成された為か、他の魔法を扱うことはできないが属する系統であればそれなりの魔法を扱えると師匠のお墨付きだ。


 私はこの時師匠ならどうやってこいつと戦うのかをずっと考えていた。


 その結果、師匠ならこの様にして戦うと言う結論が出たのだ。


(物理攻撃はあまりきていないけど、私の魔法攻撃は躱さずにミルシュの魔法攻撃を奴は躱していた、と言うことは風属性もしくは風に関する何かが苦手と見える)


 そう考えた私はミルシュに作戦を伝え、今それが実を結んだのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る