第615話 少女アイナ②
私とハルトさんは夕暮れの中を一緒に歩いていました。
アイナがミルシュを手に乗せて話しかけながらゆっくりと彼らの家へと向かいます。
「それにしても驚いた、ハルトが子持ちだったとはとは...」
見た目の年齢的に私よりちょっと大きいかな? と言うくらいなので5歳児の娘がいるとは思わなかったのでした。
「ははっ、よく言われるよ、もう結婚してるのかよっ! てね」
明るい声で私にそう言ってくる彼の笑顔は凄く眩しく見える...。
娘を持つ親の顔という物はこんなにも優しい物になるのだろうか...。
(なんかいいなぁ...)
私はハルトがアイの事を話している時の視線を羨ましく思いました。
「そういえば、君の名前はまだ聞いていなかったな」
「...ケロナだ」
「ケロナ...ね、アイナを見ていてくれたお礼にまた今度何か奢るよ! この町で手に入らない物は少ないからね」
私は彼の顔を見てにっこりと笑っていました。
「ええ、よろしく頼む」
私の受け答えに彼は微笑見ながら娘に声をかけました。
「アイナ! そろそろ帰るぞ!」
「ええ〜!! ミルシュちゃんともっと遊ぶの〜!!」
そう声を上げる彼女に私は言いました。
「また明日ここで遊ぼうか」
「良いの!? お姉ちゃん!」
「ああ、勿論さ」
私は彼女と約束をしてあげました。
しばらく依頼の件があるのでこの町に滞在しますし、数日間くらいならいいでしょう。
飛び跳ねて喜ぶ彼女の姿に私は静かに息を漏らすのでした。
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