第467話 【大帝】について②
「そうだな、あれは僕が旅に出てしばらくした頃だ...、とある町に【大帝】の事について彫られた石碑があったんだが、今思えばあれは【聖典】の事だったんだと思う」
アポロの言葉に私は「何を見たの?」と聞いた。
「石碑には【大帝】が巻き起こした厄災の数々にそれを各地で発生させたであろう星が3つ描かれていたんだ、その星が多分【聖典】でそこに写し出されていた厄災は全て魔物がその星から溢れ出てくると言う物だった...」
(...3つの星? それが【聖典】だと言うのなら今私達が追っている【聖典】を壊したとしてももう1冊あるということ?)
勿論彼の言葉の全てを信用する訳ではないが、【聖典】が3冊しかないのであれば終わりが見えてくる。
まあ、仮に100冊あったとしても全て破壊するだけだけどね...。
私の旅は【聖典】を全て破壊するまで終わらないのだから...。
私の表情を見ていた彼は再びニヤリと笑い私にこう言いました。
「見たこともない魔物が無数に飛び出してくる現象に立ち向かう者もそこには描かれていたんだが、それは黒いドラゴンだった...」
「黒いドラゴン...」
私は真っ先に【次元龍】の事を思い出した。
「3冊の【聖典】に真っ向から向かっていく黒いドラゴンの存在と大群を操る【大帝】の戦いは熾烈を極める中、一際輝く星が2つの巨悪の中心に立ち世界を白に染めた...というところでその話は終わっていた、恐らく一際輝く星と言うのは【白銀の勇者】だと思われる」
「つまり俺だな」
空気の読めないキィアが話に入ってきたが皆無視をする。
「しかし僕はそう思えないんだよ、噂に聞けば【白銀の勇者】は人間の風貌をしているし、事実その石碑の中でも人間の影が一際輝く星の中に彫られていたからね...、だけどただの人間があの化け物どもを相手に出来るわけがないと僕は結論づけた」
「だから勇者なんだろ!! 皆! まだ俺は弱いけどいつか必ず本物の【白銀の勇者】になるからな!」
「「「「「「...」」」」」」
元気よくそう叫ぶキィアのテンションに私達はついていけず夕食の準備に取り掛かるのでした。
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