第468話 野菜のスープ

 私は皆がお風呂に入っている間に村でとってきた野菜でスープを作る事にしました。


「たっぷりと香辛料を入れて...と、基本的には野菜多めのスープだけどちょっとだけベーコンも入れようか...」


 サクッと一口サイズに切り裂いたベーコンをスープの中に入れて肉の旨味と野菜の旨味が溶け合うのを待っていると...。


「きゃー!!」


「なんなんですの!?」


「お姉ちゃ〜ん!!」


 という声が風呂場の方から聞こえてきたので急いで向かう!!。


「何!? 昼間の【イーグル団奴ら】が報復にでもきた!?」


 私が風呂場の戸を開けると、そこには息を切らして風呂の桶を構えながら固まっているレイナの姿がありました。


「レイナ!? どうしたの!?」


「はぁ...はぁ...、身の危険を感じましたが、取り敢えずこれで大丈夫でしょう」


(これで大丈夫? どういう意味だ?)


 そう思いながらレイナの視線に合わせて自分も風呂場の床を見てみると納得がいきました。


「ああ...なるほど」


 私の視線の先には裸の勇者の姿がありました。


(...完全に他の子たちがお風呂に入っている事を忘れて入ったなこいつ)


 そう思うと哀れですが一応介抱してあげましょうか。


「あ〜...、皆ごめん、キィアには私からしっかり言いつけておくから、今回の件はなかった事にしてやって」


「ケロナ! その人にはちゃんと言っておいてください! また裸を見られたりしたら今度は氷漬けか丸焼きにするとも付け加えて!」


「はいはい...」


 私はアホらしくなりすぎて半笑いのままキィアをお風呂から出してあげるのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る