第805話 【大帝】へと繋がる階段

 我らは【大帝】へと繋がる階段を登って行く。


 その中でアポロがまだ着いてきていた。


「アポロ? お前はもう帰っていいぞ」


 我は彼にそう告げるのだが...。


「【次元龍】様? ご冗談を、僕は最後まで貴方様と【大帝】様の戦いを見届けるつもりですよ」


 その言葉に皆の視線が集まる。


 彼の今までの行動が行動なので、誰も彼のことを信頼していないようだ。


 ケロナ達の仲間をしていたと思ったら【帝王】の手先で、【帝王】の手先かと思われたら我の従僕として現れ、今こうして再び【大帝】の元へと我を案内した上で着いてこようとしている。


 なんとも掴み所のない男ではあるが念を押しておくに越したことはない。


「アポロ、言っておくが妙な行動をすれば我が一瞬で貴様を引き裂くぞ」


 ドスの聞いた声を彼にそう告げると、彼はいつもの調子でこう返してきた。


「ええ、それで問題ありませんよ、僕はただこの戦闘を見たいだけですからね」


 ニコニコとした良い笑顔で返してくるのが本当に気持ち悪い。


 それはきっと奴の本心が全く見えないせいだろう。


(全く此奴は...)


「邪魔だけはするなよ」


「はい」


 我の言葉に即答してくるあたり、本当に介入する気がないのだと思われる。


 (ただ我と【大帝】の戦闘が見たいだけ? そんな事に命をかけるほどの価値があるのだろうか?)


 我には分からないアポロと言う男の価値観が少々気になりはするのだが、今は【大帝】を倒すことだけに集中しよう。


 そんな事を考えていると、ついに【大帝】の部屋へと続く大きな扉が見えてくるのでした。

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