　ザシュ...。

「かはっ...？」

　鮮血と共に散ったのはプラルの方だった...。

「プラルちゃん！」

　キィアが青ざめた表情で彼女に近づいた時に私は気が付きました。

『カトラだな』

「薄汚い【次元龍】の分際で私の名前を呼ばないでくださいませんか？　耳が腐るので...」

　プラルを切り裂いた仕込み刀をチラつかせながらクラールの上から私の事を見下してくる。

「レイナちゃん！　エリーゼちゃんとプラルちゃんが危ない！　今すぐに2人を救出してここから逃げるんだ！！」

　的確な判断を下す勇者でしたが...。

「【アルフィ】様？　サラ...が？」

「レイナちゃん！？　どうしたんだ！？」

　予想外のレイナの混乱具合に焦り始める彼の姿見えました。

　それもその筈だ。

　深手を負ったエリーゼとプラル、そして混乱しているレイナに光を受けた時からピクリとも動かないサラの計4人が動けていないのだから当然である。

　しかし、私にはそのどれもがどうでも良かった。

『場所を変えましょうか、ここでは邪魔が入る』

「ふん、良いだろう」

　私の言葉にクラールはそう答える。

「ケロナちゃん！！」

　そう叫ぶ勇者に私は言いました。

『こいつと戦えないのなら、せめてそこの女くらい倒して見せなさい』

「そこの女？」

　勇者キィアの前には刀を構えるカトラの姿があります。

「...皆が助かるには俺がこの子を斬るしかないってことか！」

　そう呟きながら剣を構える彼らを見ながら、私とクラールは戦場を広い場所へと変えるのでした。

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