(やられる！！)

　そう思った俺は目を閉じてその時を待っていました。

「くっ...！」

　その時でした...。

　ズザザザザ！！！！！　と言う音と共に黒い砂のような何かが辺りの魔物を蹴散らすように地上から噴き出したのだ！

「な...なんだ！？　この黒（・）い（・）砂（・）は！？」

　しかも、黒い砂は魔物を薙ぎ払った後に様々な武器に形状を変えて溢れ出した魔物達に襲いかかっていく！！

　高レベルな魔物を次々に薙ぎ倒して行く黒い砂からはとてつもない魔力の流れが感じられたので更に驚いてしまう！

「こんな魔法見た事ないぞ！」

　俺がそう叫んだ瞬間に目の前に蒼と黒の入り混じった髪色を持つ少女が現れる。

　一瞬【蒼黒の女神】のようにも見えたそれは、俺のよ（・）く（・）知（・）る（・）人（・）物（・）だったのだ！。

「ケロナちゃん？」

　俺の呼びかけに彼女は答える。

「...キィアは街の人達と一緒に逃げて、【大帝の眷属】は私達でないと相手にならないから」

　彼女はそれだけ呟くとエルサの方に向かって行く！！

「ケロナちゃん！　無理だ！！　エルサ・ザナインのレベルは4（・）2（・）7（・）なんだ！！」

　俺がそう叫んでも彼女は止まらない。

　止まらない所かエルサと真正面からぶつかり合う！！

「きたね♡ 【次元龍】♡」

「...私は【次元龍】なんて名前じゃない！　ケロナだ！」

　凄まじいまでの爆炎と黒い水がぶつかり合い、一瞬にして周りの気温が変化する！

　季節の変わり目なんていうのが生易しく見えてくるほどの気温差に俺は気分が悪くなる。

(マジかよ...、普段からこんな中で戦っているとでも言うのか？　ケロナちゃんは...)

　最低気温10°くらいから最高気温50°程度の狭間の中で彼女達は一進一退の攻防を繰り広げているのだが、正直言って俺が割り込める隙なんてない。

　援護くらいはできるかとも思っていたが、半端な援護では返って邪魔になってしまうだろう。

　幸いにも彼女が逃げ道を切り開いてくれたので俺だけは逃げれそうだ。

「...せめて町の人たちを外に逃がせるよう尽力を尽くすよ...」

　俺はそれだけ呟くと、この場を後にするのでした。

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