第480話 おかしな記憶
サラの瞳を覗き込むように頬っぺたに両手を当ててまじまじと眺めているクラール。
「ほうほうほう...、やはり純真な良い眼を持っておるな...、どれ...、サラちゃんの深層心理はどうなっておるのかのう?」
「深層心理って何?」
「んっ?、サラちゃんの無意識の領域というかそんな感じじゃよ」
「サラには分からないかも?」
「大丈夫じゃ、分からなくて良いからのう...」
そう呟いた後に彼は妹の瞳に何やら怪しい光を送り始めたので思わず私が仲裁に入る。
「待って! あの爺さんサラに何をしているの!?」
私の問いにカトラが答えてくれました。
「大丈夫、【お爺様】はいつもああやって私達信徒に道を示してくださっているのですから...」
「ああやって信徒を増やしてるって...、それって危ない魔法かなんかじゃないの!?」
「いいえ、ただその者の精神内に入り込み、その者の苦悩を一緒になって体感するだけの魔法ですので危害はありません、【お爺様】はその力を使って私達の気持ちに寄り添っているだけなのです」
「他人の精神内に入る魔法? それってつまりは他人の記憶を覗き見るってこと?」
「正確に言えばそうなりますね、でもそれでその者の闇に触れ合って助言をしてくださるのであれば安い代償ではありませんか?」
(うぇぇ...、私なら嫌だけどな...)
他人に自分の記憶を読まれるのってなんか嫌じゃないですか?
少なくとも私はそう思います。
しばらくサラとクラールの様子を見ていると、クラールの様子がおかしくなってきました。
「...捕縛、...魔女、...弟子のエルフ、これは...火の海?」
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