第479話 お爺様⑤
「ふぅ...」と息を吐いたクラールはこういいました。
「ところでお嬢さん」
「...?」
「そうそう、そこの黒髪のお嬢さんじゃよ」
「サラのこと?」
自分で自分を指さす妹の姿は可愛いのですが、なぜサラを指名したのかわからないのが不安になります。
「わしの側に近寄ってくれんかのう?」
「いいよ! お爺ちゃん!」
無邪気な笑みで「お爺ちゃん!」なんて言うなんと愛らしいことか...、などと言っている場合ではありません!。
「サラ!」
私は思わず妹の前に立って壁になりました。
「悪いけど、妹に何をする気なのか先に言ってくれないかしら?」
私の言葉にクラールは笑いながら答えました。
「ふぉっふぉっふぉっ...、なぁに何もせんわ、ただその娘の眼を見たいだけじゃ」
「お姉ちゃん、大丈夫だよ! お爺ちゃんもそう言ってるし」
「でも...、もしもサラに何かあったら私は...」
「大丈夫だって! お爺ちゃんはただサラの眼をみたいだけなんだよね? それくらいなら良いじゃん!」
サラの声を聞いたカトラが私の方を見ながらこう言いました。
「姉と違って聞き分けの良い妹さんね、サラちゃんだっけ? あなた入信しない?」
さりげなく人の妹を入信させないでほしい。
まあ、サラがどうしても入りたいって言うなら止めないけれど、それはもうちょっとこの神社の奥底を垣間見てからの方がいいだろう。
「ではサラちゃん、わしの側に寄りなさい」
「うん!」
ゆっくりと彼の元に近づいて行く妹を不安そうに見守ることしかできないのが歯痒いですが、ここはしっかりと観察させて貰いましょうか。
(サラに変なことしたら速攻で締め殺してやるけどね...)
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