第693話 【風帝】ライファー④

 戦いが長引くにつれて、やはり相手の体を直視してはいけないと言うルールが重くのしかかる。


「ほらほら、ちゃんと防がないとやられちゃうよ?」


 細身の腕から繰り出される絶対必殺の一撃の数々に防戦一方な私。


「ぐっ!」


(せめて相手の動きを直視できれば...!)


 一瞬だけ彼女の体を視界に入れるのですが...。


「あっ♡」


 甘い声が漏れたかと思うとお腹の辺りがキュン♡ と媚びを売り始めてしまう♡


「うぁぁ...♡♡♡」


 お腹を押さえながら悶える私を蹴り倒す彼女。


 仰向けに倒された私のお腹を踏みつけながら、彼女はこう言ってくるのでした。


「その表情を見る限り、私の体を直視しちゃったみたいだね、自分の妃に絶対の愛情を注いていた【ターランド王】には私の【魅了】が通じなかったみたいだけど、貴女のような初心ウブな少女には効果的面みたいね♡」


 彼女の言う通りです♡


 彼女の体を直視した瞬間から体が熱くなって体温がずっと上昇し続けていて、更には心臓の鼓動がドキドキしていました♡


(嘘でしょ...、この感じは...まずい...♡)


 その間に何度も腹を蹴られながらこう言われる。


「ほらほら、早く目を開きなさい、そうすれば楽になるわよ」


(彼女に言われるのは癪だけど...、目を開かないとこの状況は打破できない!)


 そう思った私は罠だと分かっているのに目を開いてしまうのでした。

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