第442話 【蒼刀】の一撃

 結果的に言うと私の圧勝だった。


 メイアの放った【死の槍】は私に届く前に真っ二つに両断され、そのまま彼女の体を上下に切り裂いたのだ。


「ガハッ!!」


 口から大量の血を吐き地べたに転がる彼女を私は静かに見下ろしていると、彼女は私に手を伸ばしてこんな事を呟いた。


「メイアは負けたの...?  お..ねえ...ちゃん...」


 最後のお姉ちゃんが私を指しているのかエルサを指しているのか分からないが、どちらにせよ後味が悪い。


 私はほぼ瀕死の彼女にとどめを刺す必要があるのだから...。


「...悪いね」


 ザクっ...。


 彼女の心臓を突き刺す確かな感触が自分の手に伝わってくるのを気持ち悪いと感じた。


(今、私はサラと同じくらいの歳の子を殺したんだ...)


 それは相手が【大帝の眷属】だったとしても例外ではない。


 私が彼女の息の根を止めると、エルサの亡霊も銀狼の剣士も元の魂に戻りこの世からあの世へと旅立って行くのが見えた。


 彼女達が確実に消えたのを確認すると、後に残ったのはメイアに買ってあげた月の髪留めのみ。


 私は物悲しい気分になりながらも、それをそっと拾い上げ最後の仕事に取り掛かった。


 そう、2冊目の【聖典】の抹消だ。


 私達が全員集まるとその一点を全員で見つめた。


「今度こそ終わらせてやる!」


 2冊目の【聖典】に対して私達は一斉に攻撃を仕掛けるのでした。

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