第575話 女性差別の国⑥
お頭と呼ばれた男の風貌は顔に傷がありいかにもと言う格好でチャラい金髪がよく似合っています。
白いスーツのような衣装に身を包んだ姿は若頭のところで見た男達に似たものを感じましたが、あちらは優しい感じの気配を、こちらからは明らかに邪気のようなものを感じ取りました。
男どもの集団をかき分けながら私の方に近づいてくる彼の姿はどこからどう見ても組の者ですね。
「おっ? 嬢ちゃん肝が座っとるな、俺を前にしても呼吸一つ見出さないのか」
「ええ、目の前に害虫が1匹増えたくらいでなんで私が呼吸を乱さないと行けないのかしら?」
「...ええ根性しとるわ本当に...!」
彼は勢いよく左手を振りかぶり、殴る素振りを見せながら右手でジャブを入れてきました。
バシッ!!
「...」
「...嬢ちゃん何者や? なんで左手から攻撃が来ないと分かった?」
私は彼の左手から殺気を感じなかった事を打ち解けました。
「だって左手で攻撃する気配がなかったからね、どう考えたって攻撃してくる方に注意を向けるのは当然でしょ?」
私の回答に彼は苦笑いを浮かべながら呟く。
「ハハッ、こりゃ参ったな...」
私が彼のフェイントを見破った事実にざわめきだす男達。
「お頭のフェイントが通じない相手だと...!?」
「どうりで俺たちじゃ相手にならない訳だぜ...」
妙な空気の中、お頭は私と敵対する事を諦めたように背中を向けました。
「どうやら俺たちの手に終える相手じゃないらしい、お前ら引き上げだ」
「「「「へい」」」」
お頭の一言と共に全員が嵐のように去って行きました。
「何だったのかしら...」
私はそう呟きながらその場を後にしようとしていると...。
「あんたすげ〜な!! あのアカギ組の頭を真正面から追い払うなんてこの町じゃ誰もできないぜ!」
といきなり声をかけてくる茶髪の少女の姿が現れるのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます