第431話 命の灯火

 私が焦るのを楽しそうに見ているエルサの態度は非常にムカつく。


「後18分♡ ケロナ頑張ってね♡」


 以前のように子生意気な【死神】に戻っている彼女を睨みつけてこう言いました。


「今はそうやって余裕振ってなさい、ちょっとしたら貴女はあの世に行っているんだから」


「それはこっちのセリフだよ♡  【死の案内人】を倒せない事にはエルサにとどめを刺すなんて事絶対にできないんだから♡」


 お互いに見つめ合い、腹の探り合いをしている余裕はなさそうだ。


 私は素早い動きでエルサとの距離を詰めようとするのだが...。


 グワッ! と大きな鎌が降ってくるのでなかなかエルサに近づけない。


(【死の案内人】が邪魔!)


 そちらに気を取られると【死神】の攻撃に反応ができない。


「【死の案内人】にばかり気を取られてるんじゃ勝ち目はないよ♡ 【地獄の業火ヘル・フレイム】」


「ぐっ!! このくらい!!」


 私は両手を前に出して彼女の炎を【蒼極】のオーラのみで弾き返しました!


 私がオーラのみで魔法をかき消したのを見ると彼女は少々焦りを取り戻しましたが、【死の宣告】がある以上彼女の方が精神的優位に立っている事は変わらない。


「ほらほら、早くしないとケロナの命の灯火が消えちゃうぞ♡」


「くっ...! 舐めるな!!」


 私はそう叫びながら、一心不乱にエルサに向かって特攻を繰り返すのでした。

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