第162話 エリーゼ邸

 私達がダンジョンの外に出ると世界は暗闇に染まっていました。


 そこで困るのが今日の宿です。


「どうする? 今からだと宿も取れないだろうし...」


 私がそう呟いた瞬間にエリーゼの両親が提案してくれました。


「ならどうですか? あのダンジョンを攻略するまでの間、我々があなた方の支援をすると言うのは」


「それってつまり...」


「ええ、宿泊費食事代全て当家が負担致しましょう」


 まさかの美味しい展開きた!!。


「お父様!! それ凄くいい提案ですね!」


 エリーゼもそう言ってお父様を調子づかせてくれる。


「そうだろう? ささっ、体が冷え切る前に我が屋へお越し下さい」


 〜エリーゼ邸〜


 私達がエリーゼの邸宅に向かうと手厚い歓迎を受ける。


「うわ〜! すっごい!」


「これは...ガーディン邸よりも凄いですね...!」


 レイナとサラも言った通り、これは成金という感じの家柄ではなさそうな空気感が漂っている。


 なんというかその...、ガーディン邸にあった下品な感じがないと言えばいいのだろうか?。


 上手く言葉で表現できないのだけど、それでもあえて言うのなら自分の趣味全開だったのがガーディン邸であり、エリーゼ邸は自分の趣味というよりは完全に来客を出迎える為に存在するような物ばかりが置いてあるのだ。


 例えばだけど、このよく分からない高そうな肖像画もガーディン邸ならば若いエルフの肖像画に変わると言った感じだろう。


 そう言った意味でも上品な家の空気感は、私達のような下々の冒険者には合わないのだ。


「ささっ、皆さまダンジョン攻略にてお疲れでしょう、メイドと執事各位に風呂の用意をさせますので少々お待ちを」


 ガーディンは洗脳されたレイナをメイドとして雇っていたが、エリーゼの両親はちゃんと給料を払って4人ものメイドを雇っているようだ。


 それだけでも充分凄いとは思うのだが、やはりと言うべきか風呂場も豪華だった。


 豪華と言ってもただ風呂場が大きいだけで成金趣向のものはないので安心する。


「じゃあお湯を張って貰ったわけだし、皆で入ろうか」


 私達はダンジョン攻略の疲れを取るため、お風呂に入るのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る