第444話 彼女の優しさ

「おいおいおい、ケロナ、お前こんな事も出来ないのか?」


 私は赤髪の彼女にそう言われてしまう。


(だって私...、まだ生まれたばかりだもん...)


「言い訳しない!! ちゃんと泳げないとここでは生きていけないよ!」


(ヒェ...)


 私は一生懸命にバタ足をしますがなかなか上手に泳げません。


「ったく! あんたそれでも◯◯なの!? その腰から生えてる物は何!? 足だけじゃなくそっちも使いなさいよ!」


(えっ...?)


 私が恐る恐る背中の方を触ってみると、お尻の少し上の辺りに尻尾の様な物が生えていました。


(なにこれ...)


 少しヌメッとしていますがこれを使えと言う事でしょうか?。


 よく見ると赤髪の彼女の腰からも同じ物が生えていました。


「そうそう、それを使うの! 腰をこうやって動かしてね...」


(こう...?)


「そうそう! やればできるじゃん! そのままこの川を向こう岸まで泳いでみて」


(う...うん! やってみるよ!)


 ぱしゃぱしゃぱしゃ...。


「そうそう! 上手いよケロナ!」


(私...泳げてる!!)


 彼女に言われた通り川を泳ぎ切るのにそう時間はかかりませんでした。


 私が泳ぎ切れた事に感動していると、彼女が何かの卵を渡してくれました。


「ほらっ! 泳ぎきったご褒美だ! 食べていいぜ!」


(あ...ありがとう)


 私が殻を割って卵にかぶりつくと半熟の黄身がトロリ♡ と溶け出してきてとっても美味しい♡。


(おっ...おいし〜い♪)


 私の喜ぶ姿を見た彼女は笑いながらこう言いました。


「だろっ!? 私の大好物【ニワタカ】の卵を炎で少し焼いた物だからな! 不味いわけないだろ!」


 そう言いながらジュワッ♡ と美味しそうな音を立てる卵を2人で食するのでした。

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