第448話 VS【タイウコ土】決戦【アガルガン】!!②

 私が何度も同じ箇所に向かって魔法を放ち続けていると、ちょっとだけ【アガルガン】の体に傷がつきました。


 奴からすればなんでもないダメージでしょうが、私からすれば数十発放ってようやく得た初めての傷なので進展があっただけでも嬉しいと感じます。


 お姉ちゃんが必死に戦ってくれているおかげで私がフリーになっているからこそ、このチャンスに少しでも多くのダメージを与えないといけません。


 ちょっとでも私がダメージを与えないと!!


 そう言った気持ちで攻撃していると...。


 ギロリ!!


 と奴の目が私を捕らえました!


(ッ!!)


 その事に気がついた私ですが、怖くて足が動きません!


 動け...動いて!! と念じるものの【死】と言う絶対的な恐怖には勝てない。


 私の足はすくみまるで動けなくなってしまっていた。


「ケロナ!!」


 それに気がついたお姉ちゃんが一瞬で私の前に飛んできて代わりに奴の攻撃をまともに受けてしまいました!


「があっ!!」


 と言う言葉とともに泥水の中に沈むお姉ちゃん。


「お姉ちゃん!!」


 私の叫び声が響き渡る前に奴は私に狙いを定めてきました。


 でも...、もう怯みません!


 私は勢いよく後方に水を噴出しスピードをつけて奴の後ろに回り込みました。


「ギシャ!?」


 突然私の移動スピードが上がったので驚いたのでしょう。


 奴は私のスピードについてきていません!


 今ならいける!!!


 そう確信した私は傷を入れた部分に全力の魔法を叩きつけました!


(【ケロっとすぱいらる】!!」


 指をぱちっと鳴らして魔力を多く込めます!


 すると先ほどよりも複雑で緻密な螺旋が生まれて奴の硬い甲殻を貫通しました!!


「ギシャァァ!!!」


 と言う断末魔と共に奴が逃げようとしていると...。


「逃すかよ...! 皆の仇だ!!!」


 お姉ちゃんが泥水の中から思いっきり炎の剣を投げ切って奴に止めを刺しました!


(お姉ちゃん!!)


「がはっ...! 結構いいの貰っちまったがケロナのお陰でなんとかなったな...」


 お姉ちゃんが血を吐き出したのですぐさま回復魔法を当ててあげます。


(ううん! お姉ちゃんがいなかったどうしようもなかった...、お姉ちゃんがいたから勝てたんだよ!)


「そうか...? そう言われると少し照れくさいな...」


 血だらけになりながらも、お姉ちゃんは顔を赤くしながらそう呟いているのでした。

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