第489話 【次元龍】VS【黒牛】④

「【裂波咆哮】!!」


 赤い光線がクラールの口内から放たれて私に降り注ぐ!!


『こんなのが貴方の奥の手? だったら期待できないわね』


 いつもの様に砂鉄の壁で攻撃をシャットアウトしました。


 バチィ!!


 攻撃を完全に防ぎ切った私はニヤリと笑いました。


『やっぱりこの程度か...』


 そう呟いた瞬間!


 砂鉄の霧が晴れて奴の方を見てみると、その手には【聖典】が握られているではありませんか!


『それは!』


「【大帝】様が我らのために作り出した【聖典】だ、【次元龍】であるお前ならこの本の能力は知っているだろう?」


『させない!』


 私の言葉と共に砂鉄を扱い奴の手首を切り落とそうとしたのですが...。


「もう遅いわ!!」


 彼の言葉と共に【聖典】が輝きだし私の攻撃を弾き返しました!


『ぐっ!!』


【聖典】の輝きがどんどん増していき、彼の体を包み込む...


「【大帝】様の祝福を受ければお前なんぞ一捻りだ...」


 その言葉の言った通り、彼の体から針のような黒き羽毛が伸びて禍々しい姿になって行く!!


 どんどん魔力を増大させていき、最終的に更に強大な存在となってしまった!


「この力...! 流石は【大帝】様の作りし【聖典】! この力を使いて【次元龍】を滅ぼさん!」


『...確かに強くなってるけれど、それで私に勝てると思っているの?』


「減らず口はそこまでにしておけ、貴様でもワシの力が向上したことくらいは理解できるだろう?」


 確かに彼の魔力の気配は大分上がりましたが、それでもまだ勝機はあるでしょう。


 私は気を取り直して奴の足元に砂鉄の刃を展開するのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る