第544話 かつての仲間達との決闘

「レイナさん!!?」


 レイナがいきなり最強の魔法を私に放ったのに驚きの声をあげる皆の声が聞こえてきました。


「皆さん! 戦闘開始です! 敵は!! 私達が彼女の足手まといにならない事を証明しましょう!!」


 不意打ちを食らった私でしたが、彼女の行動に思わず「ありがとう...レイナ」と呟いていました。


(これで...思いっきりやれる!)


 私はそう思いながら体勢を立て直し皆の方を向きました。


 敵は熟練の冒険者4人に勇者の計5人。


 このくらいの相手を倒せないようではアポロにはどっちみち勝てないのだと自分に言い聞かせる。


「遠慮はいらない、全員纏めてかかってきな...」


 私はかつての仲間達をおちょくるように指先を動かしました。


「エリーゼさん! まずは壁を作ってください!」


「...なんで私がお姉様と...」


 震えるエリーゼに私が喝を入れる!。


「エリーゼ!! 私と離れたくなかったらお前の力を示せ!! それ以外に私を引き止める手段はない!」


 私の喝に彼女は一瞬萎縮してしまったが、すぐさまいつもの調子を取り戻す。


「お姉様...!! ...分かりましたわ!! 私の力を見せてあげます!!」


 そう言いながら展開された魔力壁は今までにエリーゼの放ってきた中でも最硬の壁である事は容易に特定できたのだが、その強度や質を間近で見ているとどうしても...。


(...やっぱりこの子達をこれから先の戦いに参加させる訳にはいかない)


 と思う私なのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る