第378話 玩具の家からの脱出!③

「ケロナお姉ちゃん!!」


 そう叫びながら真っ先にケロナの拘束を解き始めたのはサラでした。


 勿論私達も後から駆けつけて彼女の拘束具を外していきます。


 私が目隠しを取るとケロナの瞳が私を見つめました。


「レイナ...、さっきサラの声が聞こえたかと思ったのは空耳じゃなかったんだな...」


 四肢のそれぞれから赤い血を流しているケロナに【回復魔法】をかけるサラ。


【聖女】の回復魔法の威力は下級職の【僧侶】よりも優秀なのでこのくらいの傷ならば一瞬で回復させる事ができます。


 回復魔法をかけ終わるとケロナがよろよろと立ち上がろうとしたので全力で止めました。


「ケロナの体はまだ動ける様な状態ではありません! 無理をしないでください!」


 私の言葉に驚きの表情を浮かべる彼女を見て追加で小さな声で言葉を送ります。


「先ほどメイアと手合わせしましたが...、ケロナなら1人でも充分に倒せる相手でしたよね? 何故負けたのですか?」


「それは...」


 何か言いたそうにする彼女の真意は何となくわかってしまいます。


「...まあいいです、それがケロナの長所でもありますからね」


 私の言葉に彼女は暗い顔のまま声を返してくれました。


「恩に着る...」


 ケロナさえ見つかってしまえばこんな所に用はありません。


 外に出る為の経路をいちいち探すのも面倒なので、私は皆に声をかけました。


「皆さん私に近づいてください、【脱出魔法】でここから逃げ出しましょう!」


 私の提案に反対する者はいなかったのですぐさま呪文を唱える私。


「【脱出魔法】!!」


 私がそう唱えると一瞬にしてダンジョンの外に脱出できてしまうのでした。

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