第595話 【風龍ルディラ=マルクス】⑤
大きく口を開けてミカに向かって風のブレスを吐こうとする【風龍ルディラ=マルクス】の動きを見ていた私は周囲100メートル程に巨大な水の壁を作り上げて【王国軍】に被害が出ないようにしました。
(流石にあれを食らったら人間の騎士なんて300人...いや500人くらいは吹っ飛んじゃうからね)
そう思った私は一応防御として水の壁を作っておく。
私が奴のブレスの着弾に身構えていると、ついに咆哮が放たれた。
一瞬だけ物凄い嵐でも吹いたかのように辺りの木々を薙ぎ倒しながらミカを巻き込むブレスの勢いには驚く物があるが、その規模から見てやはり【風龍】の実力は【海龍】と同レベル程度のようだ。
ならば
「ミカ、そろそろ終わらせろ」
私の言葉と共に暴風域から抜け出したミカは呟く。
「うん、やっぱり【風龍】よりも師匠の方が何倍も強いや」
彼女は【捨て身】と【硬質化】を発動し倍増した筋力で思いっきり【風龍】を殴りつけると、まるで人が石ころでも投げるような速度で飛んでいく【風龍】の体。
それを見ていたであろう【王国軍】のざわめく声がこちらまで聞こえてくるのが分かる。
「これで...終わり!!」
そう叫んだミカは土魔法で地面の性質を変えてトランポリンのようにし、それを扱い思いっきりジャンプしてとどめのキックをお見舞いするのでした。
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