第526話 高級ウサ豚③

「くんくんくん...」


 ポニーは鼻をひくつかせながらウサ豚の丸焼きに齧り付きました。


 昨日も干し肉を貪っていましたが、今回の丸焼肉も同様に齧り付いています。


「ポニーさん! ちゃんとナイフがあるんですからこれを使ってください!」


 そう私が言っても彼女はただキツイ表情で私の事を威嚇してくるので困りものですね。


「ガツガツガツ!!!」


 むしゃぶりつく様に食べ尽くすと彼女はすぐさま自室に戻ってしまう。


 昨日から誰とも一言も話さず、自分の部屋に篭りっきりなのが少し腹が立ちました。


 私は思わず彼女の部屋に向かいノックをしてみます。


 コンコン。


「ポニーさん?」


 やっぱり返事はありません。


「入りますよ」


 私がそう呟きながら彼女の部屋に入ってみると...。


「なんですかこれ...!」


 私は思わず驚いてしまいました。


 私はただ一部屋を彼女に貸していただけなのですが、その部屋が早くも彼女の作った武器で一杯になってたのです!


 いや...、そもそも私は彼女に武器を作れとも言っていませんし、第一素材はどうしているのでしょうか?


 そう思うと興味が湧いたので、私は彼女の側に近づき武器の作り方を見てみる事にしました。


 まず土を魔法で作り出し、それを手に取って槌で叩く彼女。


 すると...。


(えっ!? 土が鉄に変わった!?)


 彼女は大量の砂を鉄に変える能力を持っている様でした。


 この部屋が砂埃で凄いのもそれが原因でしょう。


 そしてそれを炉の中に放り込みしばらく熱した後剣の形に伸ばしていました。


 普通剣を打つ時の音が外にも聞こえるはずなのですが、彼女は防音の魔法も持っている様で外に金属を叩く音が全く聞こえてこない様に配慮しているのも凄い点だと思います。


 そして出来上がった剣の出来は【素晴らしい】の一言に尽きる物でした。


 私はその能力を見てこう思いました。


(これは...お金になりますね♡)


 私はポニーさんの肩に手を伸ばしてこう囁きます♡


「ポニーさん♡ ちょっと商談の話をしましょうか♡」


 そう呟く私に彼女はいつものキツイ目をしながら睨んでくるのでした。

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