　虚な瞳でただただ鉄を打ち続ける赤毛の少女の体には無数の生傷があった。

「ちょっと！　大丈夫ですか！？」

　私が慌てて駆けつけて彼女の肌に触れようとした瞬間！

　バシッ！！　と手を叩かれてしまいました。

　ヒリヒリとする手を押さえながら彼女の敵意丸出しの表情に私は少し気圧されてしまいます。

「あっ！！　レイナさんが心配してくれてるって言うのにその態度はないよっ！」

　サラが杖を掲げて赤毛の少女の前に立つと槌を構えてサラに襲いかかってきました！

「なに！？　私とやる気なの！？」

　すかさずその少女の攻撃を交わして杖での一撃をコツンと決めると彼女はバタリと倒れてしまいました。

「弱っ！！　って言うか杖で叩かれただけで倒れるくらいならなんで襲ってきたの！？」

　サラが動揺する中、私は倒れた彼女の体を見てみます。

　彼女の頭に手を当てて見ると熱を持っているように熱く感じました。

「...！　まずいですね！　サラ！　この子に回復魔法を掛けてください！」

「えっ！？　なんで私が？」

「いいから！　師匠命令です！」

「...分かった」

　サラに言うことを聞かせて少女の体力を魔法で回復させると少しだけ顔色が戻ってきました。

　その間にも少女の体に他の外傷がないか確認していると分かったことがあります。

(この子の衣装...すごく不衛生だ...、こんな場所でずっと鉄を打っていたの？)

　ボロボロの布切れを羽織っただけの衣装でずっと熱い鉄を扱っていたのでしょう。

　手首などには火傷の跡が凄く残っていますし、エリーゼと同じくらいの年の子の筈なのに筋力が凄い事になっていました。

　サラの攻撃1発で倒れてしまった事から分かる事といえば、少女はもとより疲労困憊だったことが伺えますね。

「カトラ！　この子に一体何をさせていたんですか！？」

　私の問いに彼女は答えました。

「その子はポニー、我ら【ガライ教徒】の為に武器や防具を休みなく作って貰っていたドワーフさ」

「休みなく...？　いつからですか？」

「さあ？　私にはわかりませんね、少なくともここ最近と言う事はないでしょう」

　彼女の言葉は恐ろしい程に冷たかった。

「この子がこんなになるまで放置していたと言うわけですか？　ここにある大量の武器もこの子が全部一人で作ったと言うのですか！？」

　私の声に彼女は「そうですね」と答えるのでした。

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