第178話 【シュライン】の祭壇

 私はこれまでに見たのと同じ祭壇の登場に怒りを燃やす。


「あれは何かしら? 何かの祭壇みたいだけど...」


 そう言いながら祭壇に近づこうとしたエリーゼを止める私。


「待てっ! 止まれ!」


 私の大きい声に驚いている様子の彼女だったが、まずは私が祭壇を調べたいのだ。


「エリーゼ、一旦後ろに下がって、レイナは祭壇の周りを【結界魔法】で警戒、サラは私に【付与魔法】を」


「分かりました」


「ケロナお姉ちゃん、分かった!」


 サラの【付与魔法】を受けた私は静かに祭壇を登りきりました。


「今の所異常ありません、そのまま祭壇の上を調べてください」


 レイナの【結界魔法】にも敵は引っかかっていないので恐らく大丈夫でしょう。


 私がそのまま祭壇を登り切ると...。


「あれっ...?」


 思わず声を漏らしてしまいました。


 そこには聖典はなく、まるでのような痕跡のみが残っていたからです。


 取り敢えず祭壇周りと地面を触ってみても、やはりいつものようにおぞましい気配を感じる事はありません。


(【大帝】の作ったダンジョンと似ているだけで違う物だったの?)


 そう思いたい気持ちは山々だが、何故かそうは思えない私。


 しっかりと感覚を研ぎ澄ませ、自分の肌で周りの魔力を感じ取ってみると...!。


(この魔力の痕跡...! ザランやマーカイルに似ている!)


 凄く薄いのだが、やはりその感じが残っていました。


「ケロナ? どうかしましたか?」


 レイナが心配そうに私の事を見つめてくる。


「多分だけどここは【大帝】の残したダンジョンだと思う...、けど【大帝の眷属】はここにはもういないみたいだ...」


 いちいちマーカイルやザランやと名前を呼ぶのは面倒なのでこれからはそれらを総じて【大帝の眷属】と呼ぶ事にしよう。


 私とレイナがヒソヒソ話をしていると、エリーゼが無理矢理にでも話に入ってこようとするがそちらはサラに任せた。


 考えられる全ての状況をレイナと話し合った結果。


 一つの仮説に行きあたったので、一度エリーゼの家に戻るのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る