第293話 感謝②

 〜1時間後〜


 プラルが仲間になって森の中を案内させていると、突然エリーゼが彼女に噛み付いて行きました。


「ちょっと! なんであんたが仲間面しているのか知らないけど、私はケロナお姉様を生贄にしようとしたアンタを許した訳じゃないからね!」


「ちょっ! エリーゼ!」


 私が慌ててエリーゼの仲裁に入ろうとしましたが、プラルは首を横に振り私の方を見つめてきます。


「良いんです、エリーゼさんの言う事も最もですから...、エリーゼさんからすれば私はホビット族を全滅させられて生きていけないから皆様について行こうとしている浅ましい女だと思っているのでしょう...、でも、そう思われても仕方ない事を私はしてしまっていますし、その事で責められても何も言い返せません...、今はただ皆様のパーティに入れてくれた事に対し深く感謝いたします...」


 しおらしい彼女の態度に調子を崩すエリーゼ。


「な...なによ! その態度! そんな態度で謝られると、まるで私が悪者みたいじゃない! ああっ! もうっ!」


 イライラしながらそう叫ぶ彼女はプラルを差し置いてさっさと森の奥へと向かってしまいます。


 それを見たプラルがハッとしたように声を上げる!。


「エリーゼさん!! 待ってください! その先には!!」


「はいはい、気をつけますわよ」


 そう軽く流してスタスタ歩いていくエリーゼだったが...。


「えっ...? うわっ!!」


 エリーゼがそう叫んだ時にはもう遅かった。


 声が突然途切れたかと思うとエリーゼが消えてしまったのだ!。


「えっ...なに!?」


 そう呟く私を差し置いて一直線に走り出すプラル!。


 私達は一瞬キョトンとしていましたが、すぐさま2人を追って森の奥へと走り出すのでした。

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