第465話 嫁探し
アポロは再びお茶を自らのティーカップに注いで答える。
「もちろん花嫁選びも一つの目的ではあったが、それ以上に興味のある事がある」
「それは何?」
私の問いに彼は静かに答えた。
「【大帝】の存在についての研究...とでも言えばいいのかな? ほぼ趣味の物だけど」
「【大帝】についての研究?」
「簡単に言えば世界中にある【大帝】の残した爪痕を研究...もとい見て回っているんだ」
「なんでそんな面倒そうな事を...」
私が呆れていると彼は純真無垢な少年のような表情をを浮かべながらこう返してきた。
「ただ僕は知りたいのさ、【大帝】と言う存在が本当はどれほどまでに人類へと影響を与えたのかと言う真実が...、だけどどの地域に行って爪痕を見てもそれは数百年前の産物でしかない...、僕は書物や風化した産物だけではなくこの目で実際に【大帝】の姿や力を見てみたいんだ」
そう夢を見る少年のような表情を浮かべられても困る。
「その【大帝】が生み出した物を私達は潰して回ってる訳だけど...、アポロはそれでもいいの?」
私の答えに彼が頷く。
「勿論さ、この前の戦いで見た【大帝の眷属】達との戦い...! 僕はあれこそが神話に残る【次元大戦】の再来...もしくは再現だと思っているからね」
「【次元大戦】? それって【大帝】と【次元龍】が共同して行ったって言うこの世界と異次元世界との戦いの事?」
絵本で見た事があるがあれは凄まじい物を感じた。
子供用の絵本の筈なのに何故か妙に肌がざわついたのを今でも覚えている。
「【次元大戦】のことなら庶民でも知っている事だとは思うけど、僕はケロナのあの力を見て確信した、【大帝】と【次元龍】は仲間同士で揉めていたのではなく本当に敵同士だったってね」
(こいつ...、妙に感が冴えてるんだよね...)
私の中に【次元龍】が存在している事にこの前の戦いの時に気がついたようで、それがきっかけとなり私達と同行したくなったそうなのだ。
私は彼の笑顔を眺めながら【大帝】の事について少しでも多くのことを聞き出そうとするのでした。
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