第243話 若頭の恋⑤

「...」


「...」


 大見えを切ったマサツグを見たレイナは「はぁ...」とため息を吐いてこう言いました。


「分かりました、貴方がそこまで言うのであれば私と付き合うチャンスを与えましょう」


「ほ...本当ですか!?」


 相当嬉しそうな声を出す若頭に、彼女は条件をだします。


「そうですねぇ...、可憐な私と付き合いたいと言うのですから、相当厳しい条件をつけてあげませんと...」


 ゴクリ...と言う若頭の喉の音さえ聞こえてくるほどに部屋の中は静まり返っていました。


(レイナの奴、どんな条件を出す気なんだ...!?)


 私でさえ気になるその条件の内容とは!?。


「私の旅の仲間にレベル1の【村娘】がいます、その人と戦って勝てたなら貴方と付き合ってもいいですよ」


(は...い...?)


 私は思わずその言葉を聞いて固まってしまう。


「そんな事でいいんですか? レベル1の【村娘】なんて正直言って僕の相手じゃないですよ?」


 そう呟く彼に対し、レイナは「ふふっ」と笑う。


「果たしてそうですかね? まあやってみれば分かりますよ」


 2人のやりとりを聞いていた私がまさか巻き込まれる展開になろうとは思いませんでした!。


(なんで私が...!)


 と思っていると、戸が開いてレイナが顔を出しこう言ってくるのでした。


「ずっとケロナがいる事には気がついていましたよ? 人の恋路を盗み聞きしてたんですから、責任を持って解決してくださいね? ケ・ロ・ナ」


 まさか盗み聞きしていたのがバレていたとは!!。


 私が盗み聞きしていたのは本当だし、仕方がないので若頭と戦う事にするのでした。

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