第136話 ワイバーンの住む山②
私達が山頂に近づく度にワイバーンの声がどんどん大きくなっていく...。
私は標的に近づく度に心臓がドキドキしていた。
なぜなら今から戦うのは私ではなく妹であるサラだからだ。
自分が戦うのならば相手がどんなに強くても怖くはないが、サラのこととなるとどうしても...ね。
そうこうしている間についに山頂に辿り着いてしまいました。
私達が洞穴から外に出てみると、ワイバーンの巣が見えます。
まるで鳥のような巣の形には見覚えがありますが、問題はその大きさだと思います。
まるで一軒家の半分程度の大きさがある巣の中にワイバーンの幼体と卵がいくつか確認できました。
「今回は成体のワイバーンの討伐なので幼体と卵はスルーしましょう、サラには今からワイバーン退治を始めて貰いますが準備はいいですね?」
その問いを聞いてしばらく息を吐いた後に「うん! いいよ!」と元気に答えるサラ。
「いい返事です、では箒に跨ってください」
レイナの言葉に妹は従う。
「乗ったよ」
「では空に舞っているワイバーンを倒してきてください、時間はいくらかかっても構いません、一人で倒す事が重要なのです」
ゴクリと息を飲む妹はゆっくりとワイバーンに近づいていき【火球】を放った!。
〜数分後〜
あれから数分間サラとワイバーンは戦いあっていた。
まだ空中戦に慣れていないサラはワイバーンの素早い動きに翻弄されっぱなしである。
今まで私が前衛を張り、安全な後方から魔法をバンバン考えなしに撃っていたツケが出てしまっているように見えた。
明らかに魔法を放つまでの時間と間合いが合っていない。
(違う! 今は距離を取って魔法詠唱の時間を稼ぐの!)
下からサラの活躍を見ているだけな状況がとても腹ただしい...。
危なげない妹の戦いぶりを見て不安がどんどん大きくなってしまっただけに、つい弱気な発言をしてしまう。
「レイナ、サラに勝算はあるんでしょうね?」
私の言葉に彼女は自信満々にこう返してきます。
「むしろ勝算しかありませんよ、レベルの高さ的に下級魔術である【火球】を数発当てれば簡単に倒せる相手です、しかしご覧の通り敵との距離感を掴めていないでしょう? これはケロナが今まで前衛を張ってサラは安全な後衛から魔法を射出出来ていたという明確な証拠ですね」
彼女はそう言いながら笑みを浮かべているのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます