第137話 ワイバーンの住む山③
〜さらに数分後〜
ようやくサラの動きにキレが出始めました。
【箒魔法】での旋回や急停止からの方向転換などが上手くなっているような気がします。
「【火球】!!」
サラが放つ【火球】の威力も魔術師時代とは比較にならないほど大きく強力な物になっていました。
しかも着弾すればワイバーンの半身を焦がさんとするほどの絶大な威力誇っています。
だんだんとペースが良くなってきた妹の様子を見てついつい嬉しくなってしまう私。
(いいぞ...、この調子ならワイバーンを削りきれる!!)
そう思っていると...。
「「ギャァァ!!」」
激しい声の出現に私は遠くの空を見上げる。
「そんな...!」
新たなワイバーンが2頭も救援に来てしまったのでした。
流石にこれは部が悪いと感じた私はレイナに叫ぶ。
「助けに行きましょう! 流石にワイバーン3体はサラだけで討伐しきれない!」
レイナはそう言いながら魔法を詠唱し始める私の手を握りしめて首を横に振りました。
「なんで!」
必死に叫ぶ私に彼女は言いました。
「ダメです、サラならきっとやれます」
その言葉に私は腹がたつ。
「まだ出会ったばかりのあなたにサラの何がわかるの!? あの子はね私がいないと何にもできない子なんだよ!!」
そう叫んだ私に彼女はキレッキレの回答を用意していました。
「その何もできない子が私とケロナをガーディンから救ったんですよ? 少しはサラの力を信じてみてはどうですか? というか私は貴方にその考えを捨てて欲しいのです」
「...あんた何を言って...!」
「今のケロナは少し興奮しすぎですね、少しは黙ってサラを見てください、貴方の目にはあの子がそんなに小さく見えますか?」
「ぐっ...!」
確かに、私はサラのことを未だに小さい子供だと思っている。
私よりもレベルが高くなろうと妹である事に変わりはないし、守らないといけない存在だと思っているからだ。
そんな私の考えを捨てて欲しいと言うレイナの考えも分からなくはない。
このままでは私がサラという存在の才能の開花を妨げる要因になってしまいかねないからだ。
どんな生物も苦難を乗り超える事で強くなる。
私がサラが直面するであろう苦難を全て排除してきたから彼女はなかなか成長する事ができなかったのかもしれない。
どんどん不利になる戦局を眺めながら、私はただ苦戦するサラを見ている事しかできないのでした。
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