第270話 ホビットの隠れ里
私が連れて行かれたのは、森の中にひっそりと佇む小さな人間達の隠れ里でした。
皆独特な衣装を着込んでおり、まるで忍者のような風貌です。
いや...、よく考えると私に気配を悟らせない時点で彼女が【忍】の者である事を疑うべきでした。
しかし、こう言う奴らの隠密性能が物凄く高いのだと身をもって体験できたのは幸運かもしれません。
少女が私を引きずって帰ってきた時には皆から歓迎されていました。
「おおっ! プラル様が新たな生贄を仕留めてこられた!!」
「これで半年程はこの地に平和が約束される!」
「プラル姫万歳!! ホビット族万歳!!」
民衆の言葉を聞いてここがホビット族の隠れ里という事がわかりました。
しかし...、民衆の声を聴いているとなんだか嫌な気分になってしまう。
恐らく、ホビット達の会話の全てが生贄だの平和の約束だのと言う血生臭い物だからでしょうか?。
会話の断片を繋ぎ合わせてみると、どうやら私は何者かの生贄にされるべくここに連れてこられたようです。
私を拘束していたピンク髪のホビットは【プラル】と言う名前みたいで、私をそのまま地下牢に連れて行きました。
〜地下牢〜
私を投獄すると彼女は牢屋の外から私を見つめています。
そして可哀想な者を見るような目で私に声をかけてくるのでした。
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