第535話 【次元龍】の悪夢

 黒い霧が天まで覆い尽くし黒い砂がそこら中を埋め尽くしている中、私は目覚めた。


(ここは...?)


 瓦礫の中からゆっくりと体を起こして【蒼刀】を手にする私。


(痛っ!!)


 気がつくと私の体はボロボロで見たこともない建物の下敷きになっていたようです。


(ここは...どこ?)


 見知らぬ土地で辺りを彷徨っていると、上空に黒きドラゴンと白きドラゴンが強大な戦いを繰り広げていました。


 黒のドラゴンからは凄まじいまでの邪気を、白いドラゴンからは尋常ならざる愛情を感じ取れます。


「グォォォォォ!!!」


 黒いドラゴンが咆哮をあげるとそこら中に積もっている黒い砂が天空へと舞い上がり武器へと変換されていきました。


 その様子はどう見ても【次元龍】が扱っている【砂鉄】の能力そのものです。


 そして白きドラゴンを砂鉄の武器達で切り刻むと勝利の方向を上げて町の方に攻撃を仕掛けてくる【次元龍】の圧倒的な力に恐怖を感じましたが、私の体は動いていました。


 周りにいる人達を守るために【蒼刀】を振るい流れ弾を撃ち落とし続ける。


 魔法や刀を扱い【次元龍】の攻撃を防ぐ私でしたが、それが気に食わなかったのか【次元龍】の注意が私の方に向きました。


(くっ!?)


 私1人で【次元龍】と応戦しましたが、やはり圧倒的な戦力差がそこにはありました。


 奴の咆哮1つで私は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられて血反吐を吐きます。


(ガハッ! うぅ...)


 私にとどめを刺す為にその大きな口から放出される闇のブレスに成す術がない私。


(くそ...)


 そう呟いた次の瞬間でした!


 エリーゼの魔力盾に似た盾が私の前に展開されたのは...。

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