第506話 【イーグル団】の頭領

「我らの精鋭がこんな小娘共にやられてしまうとは...」


 紫色のフードを被り顔を隠している男が2人現れてそう言いました。


「貴方達は!?」


「...我らは【イーグル団】頭領 カジス!」


「同じく【イーグル団】副頭領! ダリア!」


 2人の【イーグル団】は私達に短剣を突きつけてきました。


「お前達か? 【ガイラの町】に火を放ったのは? お陰でクラール討伐計画の前準備が全て台無しになったではないか」


「まあ、混乱に乗じて神社の境内にまで使者を送れたわけだがな...」


 勝手に2人で話を進めていくので私は言い返します。


「私達が町に火を放った? そんな事する訳ないじゃないですか! それに私達だってあなた方【イーグル団】が町に火を放った物だと思っていましたよ!?」


 お互いの話が食い違いまるで真相が見えてこない状況に陥る。


「なに? では誰がなんの目的で【ガイラの町】に火を放ったのだ?」


「知らないわよ!」


 私の大声に彼らはふっと笑う。


「まあ良い、どちらにせよここでクラールを討ち全てを終わらせれば良いだけのこと...、そこを退け! 小娘共」


「クラールを討つ? 【イーグル団】の目的ってそれなの?」


「そうだ、何か問題でもあったか?」


「...」


 私が質問をしようとするとキィアが代わりに言いました。


「ふざけんな! そんな事のために罪もない村人を襲っていたのか!?」


 そう...、ここにくるまでの間にいくつか村を回りましたが、ほぼ全て【イーグル団】の仕業で崩壊していました。


 それがどうにも引っかかる。


 そしてそれは確信にへと変わっていきました。


「そんな事だと? 我ら【イーグル団】は支配されてしまった【ガイラの町】解放の為に戦ういわばレジスタンス的存在だ! !」


「だが俺達は見たぞ!! お前達【イーグル団】の手によって村が崩壊している所を!!」


「そんなバカな事がある訳ないだろう!!」


 そう言いながら彼らが武器を引き抜いた瞬間に私は「待って」と声をあげるのでした。

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