第733話 目的

 我はターランド王国の辺境へと降り立った。


 そしてしばらく森の中を歩きながらゆっくりとケロナの人格を自身に投影する。


 そうして辿り着いた先は誰かの野営場だった。


 我がその場でウロウロしていると...。


「ママ...?」


 と声をかけられたので振り返る。


 ばっと何者かに飛びつかれたので思わずよろけてしまったが踏ん張った。


「ママっ!! やっぱりママだ!!」


 そう、飛びついてきた存在とは白いツインテールが特徴的な娘のミルシュだ。


「ミルシュ...」


 嬉しさのあまり目から涙を両目一杯に溢れさせながら我の体に触れてくる...。


 それがとても暖かくて心地よい物だと知るのにそう時間はかからなかった。


「もうミルシュ! 急に駆け出すからびっくりし...」


 ミルシュの出てきた茂みから今度は茶髪の少女が姿を現す。


 彼女はミカ。


 ケロナが色々と世話をしていたゴーレムの少女だ。


「師匠...?」


 そんな彼女になんて声をかければ良いのか分からなかった我はただ「ただいま」と声を漏らすのでした。

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