第734話 忌まわしきこの世界に終止符を...

「フリーズ様、城内に攻め入ってきた逆賊は全て始末致しました」


 目の間に広がる死体の山を見て不機嫌になる私。


「これだけの者達が私を裏切ったと言うわけね...」


「時の流れと言うものはフリーズ様の恐ろしさをも忘れさせてしまいますからな」


「まあ良いわ、どちらにせよ私に楯突く者達は全てにする予定だったからね...」


 私は執事であり【聖帝】のラグネルにそう呟く。


「はっ、してこの者の処遇はどう致しましょうか?」


 そう彼が呟いた瞬間に現れるは金髪の青年でした。


「貴方は...確か...」


「はい、【炎帝】の【専属眷属】アポロでございます、さすがは【大帝】フリーズ=ディスティア様、あの【次元龍】を正面きって追い返してしまうとは見事な腕前でございます」


 満面の笑みでそう呟く彼にラグネルが睨みを効かせる。


「フリーズ様!! 此奴は貴方様の命を脅かす為に【次元龍】を蘇生させてしまったのです!!」


 大きな声をあげるラグネルに対し冷静に切り返すアポロ。


「おいおいおい、僕が【次元龍】を復活させたのは認めつけどさ、それは【大帝】様の氷を溶かすためだって言っただろう? 実際にその計画はこうして上手くいった訳だし謝礼があってもいいんじゃないかな?」


「...貴様!! いくら【炎帝】の【専属眷属】だろうと知ったことではない!! 我らが【大帝】の命を狙った罪は死をもって償って貰う!!」


【聖帝】の怒りを乗せた一撃が今にも放たれようとした瞬間に私が声をあげる。


「やめなさい! ラグネル、アポロの計画のおかげで命を失いかけたのも事実だけど、忌まわしい勇者の封印から抜け出せたのも事実、だから今は殺さないでおいてあげる」


「...【大帝】様のお言葉ならば」


「そんな事よりもそろそろ服が欲しいわ、いつまでも【大帝】である私が裸だなんておかしいでしょ?」


「分かりました、今すぐ【大帝】様のお召し物を用意します」


 そう言って彼は【大帝】の服装を持ってきてくれました。


 黄色のまあるい帽子に青のスモック。


 そして最後は黄色のカバンだ。


 それらを装備して初めて私は【大帝】となる。


【王達の世界】の支配者たる【大帝】の名を冠する私に最適の服装だ。


 それら装備した私は【六帝】全てを【大帝の間】へと招集し号令をかける。


「【風帝】ライファー!!【雷帝】ミカウ!!【炎帝】ファウスト!!【邪帝】グラムゥ!!【聖帝】ラグネル!! 今こそ我ら【六帝】進軍の時!! 邪魔する者は全て焼き払って構わない!! 忌まわしきこの世界に終止符を!!」

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