第639話 物量②

 私の前に現れた邪悪な炎を纏う魔物の数々にこの地が地獄と化しました。


「うぉぉぉぉ!!!」


 私は【極限】の力を解放し、無理やりゲート内に津波を押し入れてゲート内いる魔物を消失させていきますが、空中にあるゲートには手の出しようがありません!


 そこからは無数の魔物達が襲いかかってくるので、地上を洪水状態にして私が有利なフィールドを維持します!


 ここは地上だったはずなのに、まるで最初からそこに海でもあったのかのような状態になっていました。


 町は水の底に沈み、二階建て以下の建造物は完全に水没しています。


 私は水面の中を高速で移動しながら炎の魔物達を水の渦に巻き込んで纏めて倒していく。


 空中に現れる魔物には水面から水の螺旋を投げつけて対応します。


 その光景を遥か上空から見下ろすアポロはこう言いました。


「流石ケロナだな...、だがいつまで続くかな?」


 上空から【聖典】を手にしたまま高みの見物を決めこんでいるアポロになかなか手が出せないでいる私。


 有利なフィールドを維持する為に莫大な魔力を使ってしまっている私に対し、彼は【聖典】の力を借りているだけなのでそこまで消耗していないように見えます。


 雑魚どもも今までの【聖典】から這い出してきてた者達よりも遥かに強く、最早町の兵隊程度では相手にすらなっていません!


 たった1日の攻防であれだけの兵隊を抱え込んでいた【フィルア王国】は、その力の全てを失ってしまった事でしょう。


 私は流れてくる町人の死骸を見る度に「すまない」と呟いてしまう。


 だけど...、たとえここで【フィルア王国】が完全に消失することになったとしても! 私がアポロを倒して【聖典】を壊す事が出来ればそれで全てが終わる!!


 私はその思いだけを胸に秘めて戦い続けるのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る