第764話 【風帝】VS【次元龍】

「おお、これはこれはライファー様」


「...ケロナちゃん」


 我の目の前に存在するは【風帝】ライファー。


 我の媒体となっているケロナを随分と辱めてくれた張本人だ。


 そうと分かっていると本気で打ちのめしたくなってくる。


 刀を構えてニヤリと笑う我とは対極的に何処となく悲しげな表情を浮かべている彼女。


「やっぱりそんな黒い鎧なんてケロナちゃんには似合わないわ、ケロナちゃんに似合うのはこのメイド服よね!」


 そう言いながらどこからともなく取り出してきたメイド服を我に見せびらかすが、それを砂鉄の嵐でズタズタに引き裂いた。


「悪いが我はそんな物を着る気はない」


 我の言葉に彼女は舌打ちをする。


「お前...ケロナちゃんじゃないわね...、【次元龍】かしら?」


「そうだと言ったら?」


「知れたこと、あなたをケロナちゃんから追い出して始末するだけよ、その後で可愛いケロナちゃんを私の従僕として永遠に従えるだけ...」


 そう呟く彼女の声が妙に気持ち悪く嫌悪感を煽ってくるのは気のせいではないだろう。


魅了に屈服してお腹の辺りをキュンキュンさせていたケロナの悔しさの念が込み上がってくる。


(こんな奴に良いようにされてさぞ悔しかったのだろうな...)


一触即発の中、アポロがこう呟いた。


「【次元龍】様と【風帝】様の戦いが始まる」

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