第765話 【風帝】VS【次元龍】②

 黒き水と清き風の領域がライファーを飲みこまんと流れ込む。


 2つの力の流れに自然の力が膨張を始めているのだ。


(流石【帝王】クラスの相手だな、油断をしていると寝首をかかれるやも知れん)


 このレベルの相手に油断などする気はないが、負ける気もさらさらない。


 あくまでも慢心すると危ない程度の相手なので問題はないはずだ。


「ふぅ...」


 と息を吐いて彼女に近づく。


 すると彼女も我に近づいてきた。


「行くわよ」


「いつでも」


 我の言葉と共に風の刃が巻き起こる!!


 わざわざ距離を詰めたと言うのに初手が魔法攻撃とはな。


 無論それも警戒の内だ。


 すぐさま砂鉄の壁を作り上げて攻撃を受け止め、すかさず瘴気によるステータスダウンを狙う。


 いかにライファーと言えども瘴気をまともに浴びてしまえば能力の弱体化は免れない。


 瘴気による弱体化から身を守れた者は【大帝】を除けば他に存在しないのだ。


 確実に奴の体を蝕み体の機能を奪って行く。


 我はそれまで持久戦を仕掛ければいいのだ。


 敢えて強力な技は選ばず、簡易的な攻撃ばかり行うのはそう言った意味合いもある。


 奴の魔法を砂鉄の壁や水の流れで躱し続けて時間をかける。


「【次元龍】ともあろう者が私程度に臆したのかしら?」


 などと煽られるが問題ない。


「そうだな、無駄に魔力を消耗したくないんだ」


「そう言う割には魔法を使わされていると思うんだけど?」


 確かに多少の魔力は使わされているのだが、この程度ならば問題ない。


 ある程度を時間をかけて奴の動きが鈍ったのを確認する。


(そろそろ...か)


 我は【あまみん☆=バスターDD】に魔力を送り込み力を与えた。


 すると奴は急に距離を取って我を警戒し始める。


「そろそろ本領発揮と言う訳ね」


「そう言う事だ」


 我は魔力の篭る刃の切先を奴に突き付けながら一歩踏み出すのでした。

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