第553話 1人旅

 ちゅんちゅん...。


 私は1人で1夜を明かしました。


 勿論仲間など周囲にいないので野宿だったし常に気をはった状態で夜を終えて立ち上がる。


 何やら私をつけ狙う気配がずっとしていましたが、とうとう明らめた様で朝方になると消え去ったのを確認した私は動き始めました。


「さ〜て、そろそろ次の町につかないかな」


 そう言いながら私は森の中を彷徨い続けて数時間が経過しましたが、森の中は食料の宝庫なので私的にはここでも永遠に暮らせそうではあります。


 でも、今の私には【大帝】と【次元龍】の討伐と言う大きな目標に加え【元の世界に帰る】と言う最大の目的が追加された事が大きいので旅を急ぐ。


 木の実をかじりながら木から木へと飛び移り森の中をどんどん突き進んでいくと...!。


「わっ!?」


 いきなり切り立った崖に飛び出てしまい急転直下してしまいそうになりました。


 けど、今の私ならば問題ありません。


 すぐさま元いた木の枝に舌を伸ばして捕まります。


 私の舌は約20メートル程伸びる上に、鋼鉄に風穴を開けるほど強固なのでした。


「危ない危ない...」


 そう呟きながら崖の下に目をやると...。


「来るな!! こっちに来るな!!」


 と叫びながら木の棒を片手に狼の群れに立ち向かっている勇敢な男の姿があるのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る