第554話 1人旅②

 私が崖の上から様子を伺っていると、狼が男の尻に噛みつきそうになったのでついつい手を出してしまいました。


「危ない!」


「えっ!?」


 私はそう叫びながら狼に向かって水の斬撃を放ち真っ二つにする。


「キャイン!!」


 と言う断末魔と共に倒れ伏した仲間を見てどよめく狼の群れ。


「グルル...!」


 よだれを散らしながら私の事を見つめてくる狼の存在に私は威圧を放つ。


「なに? これ以上やる気? 昨日からずっと私を見つめていたのはあなた達でしょう? 気配でずっと気がついていたけど結局襲いかかってこなかったよね? それってつまり私の事をだと思ったって事だよね?」


 私はそう言いながら狼の群れに近づいていくと、狼の群れは一目散に逃げ出しました。


 私が狼を追い払った事に気がついた男は私に声をかけてきます。


「いやぁ...助かりました!」


「...、つい手を出しちゃっただけだから気にしないで」


 私はそれだけ呟きその場を後にしようとしたのですが...。


「あっ! 待ってください! 眼力だけで狼の群れを圧倒するほどの実力! しかと見届けさせれ貰いました! よろしかったら私めのお話を聞いていただけないでしょうか?」


 どうせ行く当てもないので話だけは聞いてあげる事にするのでした。

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