第152話 ハーメルン渓谷②

 そうやって走っていると...。


「げっ...」


 私の動きは止まった。


 なぜ動きが止まったのかと言うと、目の前にあるボロイ橋のせいだ。


 所々が虫に食われているし、そうでなくても木の板を貼り付けただけの簡易的な橋の登場に思わず足を止めてしまったのである。


(ここは通れそうにない)


 そう思いながらも道を変えるのなら相当遠回りになってしまうし、ここはレイナとサラが私に追いつくのを待ちましょう。


 〜数分後〜


「...2人とも遅いな」


 そう思い始めたのだが今更戻るのも違う気がする...。


 〜更に数分後〜


「遅い、遅すぎる!」


 そう思いながら地図を確認すると...。


(あっ! 道を一本間違えてる!!)


 ちょっと前にあった別れ道を間違えていた事に気がつく。


(まずい! このままじゃ私が1番最初に飛び出たのに1番最後になってしまう!!)


 それってなんかダサいなと思ってしまう私は思いっきり体を捻って再び走り出そうとした瞬間!。


 ヒュン! と足元に弓矢が突き刺さりました。


 するとゾロゾロ隠れていた山賊が沢山出てきました。


「ヘッヘッヘッ...、お嬢ちゃん迷子かい? よかったら俺たちのアジトに泊めてやるぞ? お支払いはその体でどうだ?」


 ま〜たこの手の男が出てきたので流石にムカつく私。


「結構です!」


 と叫び敵陣突破を行う!。


 一直線に向かってきた私を見て笑う山賊達。


「馬鹿め! この人数を相手に勝てると思っているのか!? こちらは100人いるんだぞ!」


 そう叫んだ親分らしき男は後にこう語っている。


 この地を駆け巡る蒼髪の少女には手を出すな。


 あれは正真正銘人知の及ばない化け物である...と。


 それ以降ハーメルン渓谷には100人走破の伝説が生まれるのだが、それはもうちょっと後のお話...。

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