第151話 ハーメルン渓谷
ハーメルンの近場にある渓谷はさまざまな地方に続く便利な道である。
ただし、独特な地形と人が隠れやすい洞窟や岩が何箇所にも見られるので山賊などとの遭遇率も多いらしい。
よくこの道を使用した商人が襲われると言う話を宿に泊まっている最中に何度も聞いた。
つまる所、金品を乗せた馬車や食料品を乗せた馬車が良く襲われると言うらしいのだ。
しかし、それらに私たちは当てはまらない。
どう見てもただ走っているだけの村娘に空を飛ぶ魔女2人。
しかも全員が基本的に若く見えるので金など全く持っていないように見えるだろう。
実際の所3人合わせて200万ゴールド以上の金を所有しているのだが、傍目からみただけでは財布の中身など分かるはずもない。
なので今の所、山賊などに襲われていないのだった。
(この調子なら半日で【シュライン】に着きそう)
馬車なら3日かかると言われたので確実に自分の足で走った方が早いと気がついたのは割と最近である。
馬車だと定期的に町や村で補給をしないといけないし、客とのやり取りや馬の休憩も必要だ。
相対的に見れば楽に移動はできるが遅いと言うデメリットの方が今の私の目には大きく映ったのだ。
しかも沢山の人が乗れば乗るほど山賊に相手にされやすくなるとガーディンと同じ馬車に乗った経験から見に染みた。
それにお忍びで貴族や王族なんかが乗っていた日には最悪だ。
その情報を知った暗殺者や山賊に襲われて濡れ衣を着せられては堪らない。
以上の観点からこれからは馬車の利用を控えて自分の足で走る事にしたのだった。
勿論急いでいない時はレイナやサラの後ろに乗せて貰うのもありだとは思うけどね。
今は少しでも早く【シュライン】に向かいたいからこうしているのだ。
どんどん加速していく私のスピードに合わせるだけでも必死そうな2人の表情などお構いなしには走り去る私なのでした。
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