第401話 VS傭兵団③

「棄権だ!! 俺たちは棄権する!!」


 大声でそう叫ぶ軽口の男の声で勝負は幕を下ろす。


 彼が降参したことにより会場内は異様な熱気に染まった。


「はぁぁぁぁ!!!??? ふざけんな!!」


「固いと思ったからお前らに生活費全額投資したんだぞ!!」


「ふっ、お前達はまるでわかっていないな、大穴狙いが1番儲かるんだよ!」


 などと場外で様々な声が飛び交っている様子が窺える。


 勝利を収めた私達が会場を後にして次の試合を控えていると...。


「ケロナちゃん...?」


 と言う声が聞こえたような気がしたので振り向いてみる。


 そこには白髪の見覚えのある青年が立っていました。


「キィア?」


「やっぱりそうだ! ケロナちゃん! 生きていたんだね!」


 そう言いながら私の手を取ってくる【勇者キィア】。


「良かった...、本当に良かった...、あの後仲間を連れてスラナ村に戻ったんだけど、大量の墓があるだけでマーカイルがいなかったからケロナちゃんがどうなっていたのか全く分からなかったんだ...、生きていてくれて本当に嬉しい...」


 何やら1人で感動している勇者の登場には苦笑いを浮かべるしかない私なのでした。

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