第579話 女性差別の国⑩
私が町の外に出て早速振り切ろうとした瞬間でした。
ぐ〜ぎゅるぎゅるぎゅる....。
「はっ?」
いきなり凄い音がしたかと思うと茶髪の少女はその場にへたり込みました。
「...」
顔を真っ赤にしながら私の方を見てくる彼女。
「...聞いた?」
「...お腹が空いてるの?」
私の問いに彼女は首を縦に傾ける。
そういえば私も昼ご飯をまだ食べていない事に気がついてお腹が空いてきました。
(しょうがないなぁ...)
私はため息を吐きながらも炊き出しを行う事にしました。
アイテム袋から干し肉を取り出して噛む私の姿を見て涎を垂らしてみてくる彼女のせいで食べ辛い...。
「欲しい?」
一応聞いてみると彼女は首を縦に振った。
「欲しい!」
私が味気のない干し肉を彼女に渡すとがっつき始めた。
ガツガツガツと一生懸命に肉を噛む彼女の様子はまるで何日かご飯を食べていない少女のようだったので一応聞いてみる事にしましょうか。
「...もしかして今まで何日間か食べてない?」
「ええ、勿論食べてないわよ! この国で女性1人で食べていけるわけないでしょう! だから食料を狙って盗むとかしないと生きていけないんだよ! それが嫌だったから頑張って冒険者になったの! でも意外と食って行くのが難しくて...って言わせんな! 恥ずかしい!!」
その言葉を聞いて私はふっと笑いました。
「なによ! なんか文句でもある!?」
「いや...、悪かったな冒険者なんて仕事辞めてしまえって言った事は訂正しよう、だけど今のあなたの実力じゃあ食ってはいけない事くらい私にも分かる、だから取り敢えず...」
「取り敢えず...?」
「この国の国境を超えたらまずはあんたのレベルを1週間以内に80くらいまで引き上げて【
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます