第633話 【対価を求めた医師】⑥

「偽善者...か、それはあなたも同じでしょ? ケロナ」


「なに?」


 彼女の返答に私は反応する。


「私のなにが偽善だと言うんだ?」


「...あなたの取っていた行動の全てが私の中に入ってくる...、我らとの激戦の記憶...、そして今は連れていないかつての仲間達...」


「お前はなにが言いたいんだ?」


「...簡単な事よ、なんでケロナはかしら?」


「そ...それは...」


 言い返す言葉が見つからない。


 たしかに、言われてみれば私は1人で旅立ったはずなのにもうミカを連れ回している。


「今動揺したよね? あなたは確かに動揺した」


「...」


「それってつまりあなたは自分の仲間の事をだと思っているってことよね? なんで未だにあんな子を連れ回しているの? さっさと別れたほうがいいんじゃない?」


「...やめろ」


「何を止めるの? ただ助けただけで人を導いた気になっているあなたとタダで人を救っていた私、果たしてどちらの方がなのかしらね?」


「ッ!!」


「そう言った意味では私たちは似たもの同士なのかもしれないわね...、弱者を助けて愉悦感を得る...」


 その言葉に対して私は「違う!」と叫ぶのでした。

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