第439話 【ザナイン伯爵】

 私は【ザナイン伯爵】の体型を見ながら作戦を立てました。


(身長は5メートル、横幅2.5メートル...、明らかにさっきの奴と同じでパワー系...、手数で押しながら魔法を浴びせたらきっと倒せる!)


 私はそう思い込み【ザナイン伯爵】の体に何度も拳を叩き込み、いつもの魔法で攻撃しましたが...。


「ッ...! 嘘でしょ!?」


 私の拳も魔法も殆どダメージがありませんでした。


(そんな...、【蒼極】状態の私でもダメージを与えられないっていうの?)


 そう思っていると自分の体から溢れ出ているオーラの総量が減っている事に気がつきました。


(もしかして...時間切れ!?)


 確かに、先ほどよりも疲労感はあるし気怠い気もする...。


 でもこんな時にそんな事を言っても敵が待ってくれるはずもありません!


 遅いと思われていた【ザナイン伯爵】の動きが意外に素早く私の体を殴ってくる!!


(くっ!? 速い!!)


 しかも重い...!


 私は再び石ころのように飛び上がる。


 それを見ていた仲間達が一斉に私の名前を叫んだ。


「ケロナ!!」


「ケロナお姉様!!」


「ケロナさん!」


「ケロナお姉ちゃん!!」


 ズシャ...。


 地面に叩きつけられた私は背中の感覚が無くなる。


背中に生暖かい自分の血が広がって行く感じを体の側面で感じた瞬間にこう思いました。


(あっ...やばい...)


 命の危険が近づくに連れて私はふと視線を泳がせながら動かせる範囲で体を動かす。


 何か生き残る術がないかと探っていると...。


 コツン...。


 何かが利き手に当たりました。


(これは...?)


 私が手に当たった物を手にすると、何かが私の中から吹きあれ、もう一度だけ立ち上がるチャンスを与えてくれるのでした。

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