第473話 満腹

 朝食が終わると私達はしばらく動けないでいました。


 殻になった皿を見るのは嬉しいけれど、今はお腹が苦しくてそれどころではありません。


(お腹一杯になるまで食べれるのはいい事だけど...、満腹になるとちょっとえらいよね...)


 お腹に溜まった食べ物を消化するまでの間、次に何をするか話し合いでもしましょうか...。


 そう思って私が口を開くと先にアポロがこんな事を言いました。


「そうだ、【聖典】の行き先がまだ分かっていないのなら【ガライ】の地名にもなっている【ガライの街】に行ってみないか?」


「【ガライの町】?」


「ああ、そこには大きな神社があって、【大帝】とも関わりも深い連中がそこを守護しているそうだ」


「【大帝】と関わりの深い連中? それって...まさか!」


「ああ、恐らくだけど僕はその連中の中に【大帝の眷属】が紛れ込んでいるのだと思う」


 ...この話、一応筋は通っていると思います。


「相当危険だと思うけど何も行き先がないんでしょ? だったらまずは行動を起こさないと何も始まらないよね?」


 彼はいつもの不敵な笑みを浮かべながら私にそう提案してきた。


「...」


(【大帝】と関わり合いのある連中...、気になる...)


「分かった、満腹状態が収まったら行ってみようか、どうせ他に手がかりもないし、ここはアポロの言う通り行動をおこそう」


 彼の言う通りに行動するのは少々癪ですが、何も行動しない方が無駄な時間を過ごすだけだと思っている私なのでした。

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