第210話 【死神】エルサ⑨

「さあ降りてきて♡ 私と殺し合いましょう♡」


 良い笑みで私を呼ぶエルサとの殺し合いを請け負う私。


「私をご指名ってとこかしら、サラ!」


 私が妹の名前を呼ぶと「ひゃい!」と驚きながらも声を返してくれた。


「レイナの傷の手当てを頼む、薬草とかも好きなだけ使って良い、絶対に死なせないであげて」


 私の言葉に頷くサラ。


 その言葉を聞いていたエルサは倒れ伏したレイナの手首を掴んで私の方に投げてきました。


「まずい!」


 私は飛んでくる彼女の体をしっかりと受け止めましたが、残念な事に5メートルほど後ろに後退してしまいます。


「ナイスキャッチ♡ 流石はケロナ♡ 【聖典】のページから貴女あなたの活躍は見ていたよ♡」


 私は彼女の声を聞きながらもレイナを地面に置き、自身の魔法で傷の治りを促進する水の【付与魔法】をかけました。


「【水の自動循環オートヒール】」


 傷ついたレイナの体に私の放った水が纏わり付き、少しずつですが傷を癒やし始めました。


 その後で彼女の方に振り向いて睨みつけます。


「お〜怖〜い♡ そんな目で見つめられたらエルサでも泣いちゃうぞ♡」


 なんだかんだ茶化してくる彼女に私は言いました。


「さっきの言葉の意味...答えて貰うわよ」


「えっ?」


「【聖典】がどうこう言ってたでしょ!? それに答えるまで私はあなたを逃さない!」


 レイナが気絶するまでの間、何度目の前にいるこいつの顔をぶん殴ってやろうかと考えていましたが、ようやくその願いは叶いそうです。


 私は自身の体の限界点まで体重を乗せながら、彼女に向かって全力疾走するのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る