第355話 玩具箱の家

 ヘンテコな形の家に近づけば近づくほどエリーゼの反応がどんどん強くなって行く!!


「クンカクンカ...、やはりここからケロナお姉様の濃厚な香りがしますわ!!」


 と叫ぶエリーゼ。


(まるで犬みたいな嗅覚してるな...)


 そう何度も言いたくなったが、やはり彼女の名誉の為に言わないでおこう...。


「エリーゼ良い子良い子」


 まるで飼い主にでもなったかの様にエリーゼの頭を撫でるサラの姿は可愛いのだが、エリーゼの方が身長が高いのでちょっと背伸びしているのが面白い。


「べ...別にサラの為に探してあげた訳じゃありませんわ!!」


 とエリーゼの軽いツンデレ要素を見た後で私達は玩具箱の中に入りました。


「ごめんくださ〜い!」


 一応扉をノックした後で中に入る。


 するとそこにはダンジョンが広がっていました。


「なんですかここは!! 外からだとヘンテコな家にしか見えないのに、中に入るとまるでダンジョンではないですか!!」


 エリーゼの驚く声と同時にプラルが【隠密】を発動しました。


「ダンジョンの中では大声を上げないでください! 魔物が寄ってきてしまうでしょう!!」


 背の低いプラルに怒られるエリーゼは「ごめんなさい」と小さく答える。


【忍者】の職業は斥候職の中でも特に隠密性能に優れているのは言うまでもない。


 彼女が放った【隠密】の魔法のおかげで範囲20メートル程までならば声や足音が漏れなくなるのだ。


 こう言う時に頼りになる斥候職がいなかったのが弱みだった私達のパーティにも、プラルという【忍者】が入ってくれたお陰で大分隠密性能が高くなりました。


 普段ならケロナが1人で行ってくれていたマッピングでさえも、これからは本職の彼女がやってくれる事でしょう。


 パーティとしての安定感が上がる事は生存率の向上にもなるので良い仲間を得た物です!


(後はケロナさえ戻ってきてくれたら...)


 私達はきっと最適なパーティとなるでしょう。


 そう思うと早くケロナに合わなければ! と言う使命感のような物に駆られる私なのでした。

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