第395話 トーナメントの前準備
私達はトーナメントが始まるまでの間にしっかりと実力をつける事にしました。
今のままでは強敵を相手にするのには不充分なので、しっかりとAランクという高難易度の依頼に素手で挑む私達。
「まだ武器ができていませんので、素手でAランクの依頼に挑戦してみましょう」
とレイナが言い出したのがきっかけだ。
最初こそ私も反対したのだが、この前【Sランク】の依頼を誰も欠けることなく達成した彼女の言葉だったので信じる事にしたのです。
不安一杯で始めた【Aランク】の依頼でしたが、実際始めてみると意外と呆気なく終わりました。
呆気なく終わったとは言っても相手はレベル80の【ギガントキマイラ】4体の同時討伐と言う報酬300万ゴールドの依頼なので簡単な依頼な訳ではありません。
しかし、蓋を開けてみると2体のキマイラを私が1分ほどで討伐し、残りの2体を皆の連携で倒した結果、出会って2分も経過しないうちに4体とも倒れてしまったのです。
「魔術書代はこの4体のキマイラでお釣りが返ってきましたね」
と上機嫌なレイナを見て私は言いました。
「この依頼が目に入っていたから100万ゴールドを即答で出せたのか...、納得した」
「ええ、勿論ですよ! 今の私達なら【ギガントキマイラ】4体の討伐なんて武器無しでも達成できますよ、特に【Sランク】に挑んだ時と違ってケロナがいますしね」
持ち上げられるのは嬉しいけれど、その話をされる度に私がまだ底辺クラスの冒険者だと言う事を思い出すのであんまり言わないで欲しい。
レベル制限の所為で私は1人だと高ランクの依頼を受ける事ができないと言う事情を知らない奴らからはまるで私がおこぼれを貰っている汚い奴だと思われているらしいのだ。
普通に考えればほぼ全員が【Sランク】で【上級職】ばかりの【100レベル超え】な高レベルパーティの中にたった1人だけ【Eランク】で【村娘】な【レベル1】の人材がいれば不自然に思われるのは仕方がない事なのかもしれないが、現に私はこのパーティの中で1番働いていると思うので妙に腑に落ちないのである。
「私だって頑張ってるんだけどなぁ...」
そう思う度に愚痴を漏らさずにはいられない私なのでした。
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