第755話 決戦前夜②

 我らはレイナの注意をよ〜くきいて話を飲み込む。


「良いですか? 【世界最強パーティアルティ究極魔法マーズ】は私達全員が力を合わせて放つ地上最強の魔法です、ちなみにケロナを入れずに放った事があるのですが、それでも【大帝】を消し去るには充分な威力があると思いますよ」


「具体的にはどのくらいの威力と範囲なんだ?」


「攻撃範囲を拡大すれば大国でも一撃で落とせますが、【大帝】を殺すとなると範囲は精々弓矢1発分と言う所でしょうか」


 レイナの説明を聞く限りでは、範囲を狭めれば狭めるほど威力の上がる魔法らしい。


世界最強パーティアルティ究極魔法マーズ】その物に決まった形はなく、その戦況に応じて1番適した形になると言う。


 ただし発動するには条件があるらしい。


「私達クラスの能力値を持った仲間が最低3人はいります、しかし人数は多ければ多いほど良いですね、相手は【大帝】ですからできれば全員でこの魔法を放ちたい所ではあります」


「その魔法、1人では放てないのか?」


「文章をよく読んでください! 【世界最強パーティアルティ究極魔法マーズ】ですよ! 1人で詠唱出来るはずありません!」


 キッパリと言う彼女の勢いに押される我。


「そ...そうか」


「そうです! 特に最強パーティのメンツは重要なんです! 【勇ましき勇者ブレイブ・ヒーロー】キィア、【無垢なる聖女イノセント・シスター】サラ、【永遠の騎士エタニティ・ナイト】エリーゼ、【影の中の暗殺者シャドウ・アサシン】プラル、【伝説の名レジェンド・クラフター】ポニー、そして最後にこの私【究極のアルティメット・魔女ウイッチ】レイナの内3人がいるんですからね!」


 いきなり痛い事を言ってくる彼女を見ていると思わず「うわぁ...」と漏らしてしまう我。


「なんですか! その表情は!!」


「いや...いきなり年遅れの厨二病を発症した魔女の言葉とか恥ずかしすぎて聞いてられないと思っただけだよ」


 我の言葉に彼女は更にこう付け足す。


「いやいやいや、これ別に私が考えた訳じゃなくてレベルアップで自然についてきた称号だから!」


「本当に?」


 我は思わず疑い深く彼女の事を見てしまう。


 そこまでして我がジト目で見ていると、流石に恥ずかしくなってきたのか顔をカァァっと赤くし始めるレイナ。


「何故でしょうか? 別に恥ずかしくない筈なのに凄く恥ずかしいような気がしてきました///」


(そりゃあまああれだけ厨二病的な2つ名並べられたらなぁ...)


 そう思うとふと考えてしまう。


「そういえば私の2つ名って何になる予定だったの?」


 そう呟くと彼女は恥ずかしそうに「【絶対のアブソルト・統率者リーダー】ケロナ」と答える。


 思わず(ケロナの2つ名が既にある辺り、やっぱレイナが考えたんじゃん)と笑いそうになるのを堪えるのに必死になる我なのでした。

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